●ドビュッシー前奏曲集第1巻10番「沈める寺」〜共鳴する和音の波にのまれて
前奏曲集第1巻の10曲目の「沈める寺」数あるドビュッシーの宝石のような曲の中で、もっとも好きな曲のひとつ!フランスの古い言い伝えイースの伝説(記事の下のほうの過去記事からの転載を参照ください)が背景。
響き渡る大聖堂の鐘の音と祈りの声、海から浮かび上がりその姿を見せる美しい教会、そして再び海の中に厳かに姿を消し静寂が戻る・・・という情景が立体的に目に浮かぶような幻想的な曲ですよね。変化していく和音が幾重にも幾重にも重なって共鳴して神秘的で、んでもって、ああなんという色彩!!
楽譜見た事ある??まるで団子屋っす。ええ、串にささったお団子たち!それもだんご三兄弟じゃなくて、あんた。一串に7個とかよ!指は片手に5本しかないのよ!一本の指で二つの鍵盤叩かないと指足りないんだってば、こいつめ!ドビュっちったらもう天才!
つーわけで、沈める寺を弾く、地球防衛軍のようなマンガちっくなおっさんは、今は亡きミケランジェリ様です。
【旧ウエブサイト、2002年3月の日記に掲載。後に旧ウエブサイトフォトコラージュ・ギャラリーに「イースの伝説」として転載】
イースの伝説について
「The Barzaz Breizh〜バルザス・ブレイズ(ブルターニュの歌)」(5〜6世紀の口承物語集)よりブルターニュ南部のコルアイユの善良な王グラドロンは、溺愛していた美しい娘ダユーの為にイースの都を建設しました。イースは海面よりも低い土地に建設されたため、立派な水門と堤防に守られていました。
ダユーは放蕩で悪徳の限りをつくし、彼女の治める都は欲と快楽の上に繁栄していました。美しいダユーに求婚する男性は数知れず、彼女と一夜を過ごした男性は魔法によって無惨にも殺され海に捨てられていました。ある日、頭から足の先まで赤の衣装に身を包んだ不思議な王子が現れます。今までの男とはまったく違うこの男は、この堕落した町に罰を与えるべき登場した神の使いでした。ダユーは恋に落ち、男の要求通りに、王が首にかけていたイースの水門の鍵を盗み出してしまいます。
それと同時に、繁栄した都は一瞬のうちに、海底に沈んでしまいました。それからというもの、人魚になったダユーは、その魅惑的な歌声で男たちを海に誘い出しました。人魚ダユーの姿を見たものは、決して生きて戻ることはなかったといいます。海底に眠るイースの都は、グラドロンの教会でミサが行われなくなるとき、この世のものとは思えないほど美しい姿で浮上してくると言われています。パリ(Par-Is)は、「イースのような」という意味から名づけられました。
当時のブルターニュ地方はアルモリカ(海の国)と呼ばれており、ケルト難民が大勢押し寄せていました。この地に伝わる伝説には、ケルト神話的なものが数多く残っています。19世紀にテオドール・エルサール・ド・ラ・ヴィルマルケによって「the Barzaz Breizh」がまとめられました。
ドビュッシー作曲の「沈める寺」は、この「イースの伝説」が元になっており、グラドロンの教会での祈りの声とイースが浮上するその姿、そして鳴り響く教会の鐘の音を表現したもの。まさにそのような情景が目に浮かぶような、幾重にも重なる和音が神秘的で、独特の美しさと色彩を放つ幻想的なプレリュードです。
ドビュっちの曲って、キラキラした光の玉が、アウトフォーカスの写真やレンズフレアから溢れて写るたまゆらみたいで、その光がまた音をたたえているような印象で、月の光とかアラベスクとかの有名どころはその輝きも強烈って感じがします。魅せてくれますよねー。「沈める寺」はもっと地味だけど、目に浮かぶ光景にはホント特別なものがある!ああ、ワシは音楽になりたい(笑)
参考URL:Ys From Wikipedia
参考書籍:
「沈める寺」への誘い—ドビュッシーとケルト伝説
騎士と妖精—ブルターニュにケルト文明を訪ねて (音楽選書)
Comments
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お久しぶりです!この曲、私も大好きなので思わず書き込んでます。弾いてみようと試みたときもあったけど、なんとも無惨な結果に終わりました。(涙)
ミケランジェリのCD持ってるけど、動画を見るのは初めてなので楽しみ!今から見ます〜。
>地球防衛軍
やられた・・・(T▽T)
wahaha先生>
ひさしぶり!!ドビュッシーはほんとにキラキラ系の名曲が多いのに、コイツに目を付けるとは、お目が高い!といっても、これファン多いですよね。ほんとに素敵だもの(語彙少な過ぎ)メケランジェリ、わしもyoutubeで見つけて嬉しくなりました♪チェンマイからだと表示されないのでダウンロードしちゃったよ。
無日>
カッコよ過ぎでしょ(T▽T)
ダンゴ屋!うはははウケました〜(笑)
ミケランジェリさま、動いているのをみるのは初めてだったので、うれしい〜
たしかに、なんていうか、「・・・」な髪型ですね(笑
ドビュッシーは、高校の音楽の時間に知りました。
その前にあの富田勲のシンセサイザー演奏で聞いたりしてましたが、やはり生の音は全然違った。
ギターではセゴヴィアが編曲して盛んに演奏していましたが、この曲はどうだったかなあ?
ピアノ曲をギターに編曲する場合、和音をある程度省略するしかない事が多く、それでいて不足感を感じさせないように演奏するのが難しいところですね。
また、アルペジオの動きや移調はギターの方が簡単ですけれど、スケール的な動きは構造的にピアノが上です。
「亜麻色の髪の乙女」は弾いた事ありますけれど、和音の表現が難しかったなあ。
sawaraさん>
楽譜真っ黒で見ただけで挫折するよね。ウチは長男がドビュッシーが好きでいくつか上手に弾くけど、これは最後まで弾いたの聞いたことないです(笑)髪型も「・・・」ですけど、ファッションも注目度高いっす(^^;
ヒロさん>
誰だか演奏家の名前は忘れましたけど、10弦ギターでドビュッシーのプレリュードをいくつかやってる人のCDを聞いたことがあります。これはきっと難しいでしょうね。わたしは普段、ピアノだけの曲はあまり聴かないんですが、ドビュッシーは絶対別。やっぱり和音のせいかな。(ラフマニノフも別格扱いです(^^;)
私もこの楽譜、見てみたいです。
和音、和音の嵐で、う〜ん、そうか、団子だろうなぁ〜、と納得(笑)
この曲はマニアックなファンが多いでしょうね。
「月の光」が一般のプロモーション用なら、「沈める寺」は「本当に私のことが好きなあなたにだけコソっと教える秘密の曲」って感じ。
ミケランジェリかぁ。
私も改めて聴きたくなってきました♪