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晩祷 (Vespers) ラフマニノフ

 
Posted on 2008年12月27日 (土) 1:44 am
Filed under クラシック/現代音楽

晩祷(Vespers) ラフマニノフ

ラフマニノフといえば、ピアノ協奏曲やパガニーニの変奏曲などに代表されるような華麗な曲が多く、またそういうのが好まれて演奏されることが多いですが、ラフマニノフの隠れた名曲といえば、ワシ的にはなんといってもロシア正教会聖歌のVespers(晩祷)。他の曲たちとは一線を画し、無伴奏で厳かに歌われ、深い信仰心と祈りが溢れでいて、その極上の美しさは、ワシの乏しい語彙ではどう表現したらいいかわからんちゅーもんであります。まさに至高の曲。
無伴奏なんだけど、とっても重厚なので、アカペラであることを忘れるほど。ロシア正教会聖歌独特の地響きがしてきそうな男声の低音、そのまま天上へまっすぐ飛んでいきそうな女声の輝き。
ラフマニノフ自身にもお気に入りだったとかで、自分の葬式の曲に5番の歌「主宰や今爾の言にしたがい」を選択していたらしいです。(この曲の最後は歌曲史上最低音だとか?)

国を追われてアメリカや欧州で作曲・演奏活動をし、ついに祖国に戻ることがなかったラフマニノフ。ピアノ協奏曲2番の冒頭の10度の和音が連なる8小節は(すんません、恐れ多くもウチに楽譜があります。弾けもしないくせに)、ロシア正教会の鐘の音を表現したものだといいます。あの壮絶なピアノ協奏曲3番においても、第一楽章の中にロシア正教聖歌がモチーフとして使われているのであります。超級技巧派ピアニストである華やかなラフマニノフが、彼の祖国への思慕と愛、深い信仰を、無伴奏合唱曲Vespersで、出しまくった感じです。

ラフマニノフの音楽が愛おしくて仕方ないのは、そんなVespers的なエッセンスが、彼の音楽全体に流れていて、それが数々の華麗な音楽の中でチラチラと顔を出すからに違いないと思うのです。VespersのCDをかけると、その精神性の深さに自分の思考は完全に停止し、いったんその世界へ入り込んでしまうや何にも手が付けられなくなって、最後の1音が完全に聞こえなくなるまで、ジっと膝抱えて聞き入ってしまう。
こんな音楽と出会い、1音1音噛みしめながら味わうことができて、わたしは本当に幸せです。

*Vespersの正しい翻訳は「徹夜祷」だそうです。
WIKIの晩祷解説

Vespers Vespers
Sergey Rachmaninov 

Rachmaninoff: Vespers ROBERT SHAW FESRIVAL SINGERS Rachmaninoff: Vespers ROBERT SHAW FESRIVAL SINGERS
Sergey Rachmaninov 

ワシがいまめちゃくちゃ興味あるのが、一年365枚さんのとこの記事「真摯にして前向きな祈り。ラフマニノフ 晩祷 / ヒリアー エストニア・フィルハーモニー室内合唱団 」で知ったポール・ヒリアー版。気に入らないワケないと思う。聴く前からわかるもん。きっと鼻水たれるほど感動するもん。多分、聞き込んでしまって数日使いものにならん状態に陥るな、絶対に。
(つか、youtubeでひとつ見つけましたけど、あらまあびっくり!!!!すごいね、これ。どっかへ引っ張り込まれそうになりましたわ(涙)さすが、ポール・ヒリアー。。)
【追記:無事この音源入手しました!】
ラフマニノフ:晩祷Op.37 [Import] (ALL-NIGHT VIGIL (HYBR)|ALL-NIGHT VIGIL (HYBR))
Vladimir Miller Sergey Rachmaninov Paul Hillier
B0007ULBJC

第2曲 わが霊や主を褒めあげよ
涙腺みたいに鳥肌線ってのがあるなら、この時点で全壊っす。てか、このクリップ、最後にブチと非情に音が切れるのはなぜ。。。。。ムカつく。

第5曲 主宰や今爾の言にしたがい
実際には歌われることがなかったが、ラフマニノフが自らの葬儀用に選んだ曲。歌の最終音は、コーラル曲史上最低音が聴かれるとか?ロシア正教会の男声って神業。。。この歌を歌える男性歌手はそうそう見つからないそうっす。
繰り返される「Dies irae」は、これも鐘の音を表現したそうです。もの凄く神秘的な歌です。1997年の映画「アンナ・カレーニナ」にも登場します。

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4 Comments for “晩祷 (Vespers) ラフマニノフ”

  • garjyu より:

    こんにちは。
    リンクいただきありがとうございます。
    ヒリアー盤、鼻水ものですよ。私は逆にポリャンスキー盤を聴いてみたいです。

  • アレキサンドラ より:

    ロシア正教のイコンを教えてお貰った事が在ります
    先生はブリャード系のロシア人で仏教徒でした。
    TGがモスクワ直行始めてから此所5年程で
    沢山来られてますね、
    バリ’でも此所4年程前から沢山来られています
    お金持ちが沢山いる事と
    やはり出かけられ無い時代が長かったからね、、
    去年ロシア旅行をした時はタイ語が沢山聞こえて来て
    ビックリしましたよ〜!

  • ヒロ より:

    ラフマニノフのロシア正教会聖歌、初めて聴きました。
    あのド派手でメランコリックでロマンチックなイメージとは違いますねえ。
    こういうふうに、いろいろ聴いてみないと、その作曲家の全体像は見えてこないですよねえ。
    ロシア人がタイに行きたがるの、何となく分かります。
    今旭川も降り続く吹雪の中で、雪の無い常夏の国、太陽の光に憧れます。
    まさにそんな気持ちでしょうね。
    その反対の、雪国へ憧れる気持ちがあるのも分かりますけれど。

  • 有香ちゃん より:

    ワシのブログでは、この系統の話題はコメント0である可能性も高いのに、この度は3方ものツボを共有できる方々からのコメントを頂き、めちゃ嬉しく思っておるワシでございます。

    gariyuさま>

    連続TBを遠慮していたんですけど(けっこう小心者)見つかってしまいましたね。あはは。
    ヒリアーver. はYoutubeで第1曲を聴いてみてビックリしました。冒頭の部分なんかは祈りの声が入っていて、最初別の曲みたいですよね!丹田に響いてくるというか、スピ的に言えば身体下半分の方のチャクラにガンガンに響いてくるヒリアーver.の第1曲でした。これはやっぱり是非入手したいですね。それから、gariyuさんが長年愛聴されていたロバート・ショウver.も是非。チェンマイではまず見つからないので、日本からゲットだなー。欲しいと思ってもすぐに入手できないのが、チェンマイのいい所?!?!ジラされるので、快感もひとしお(なんの話じゃ)

    アレキサンドラさん>

    ワシの友達の中で、モスクワ在住経験がある唯一のラフマニノフの土壌をご存知の貴重なアレキサンドラさん!!
    いいですねえ、素敵な経験されましたよね。イコンたちに込められたストーリーや祈りや歌、ワシも知りたいです。でも、それが仏教徒とは面白い!!世界は広いなあ。
    なるほど、TGがモスクワ直行便やってるのか、知らなかった!

    ヒロさん>

    ほんと、イメージ全然違いますよね!!ラフマニノフの売りは、ヒロさんがおっしゃる通り「ド派手でメランコリックでロマンチック」な楽曲たちで、「おまえに弾けるもんならやってみろ!!」みたいに、あまりにも難儀な技術を要する曲ばかりで時に高慢にさえ感じられるという人もいるようですが、基盤にいつもVespers的な(ロシアへ望郷、愛、信仰など)心が流れているのを感じます。わたしの勝手な印象かもしれんですけど、まあいいじゃん、愛してるんだから〜(笑)
    わたしは、ロッキー山奥のピンと張りつめて凛とした冷たい空気が恋しいですよー。でも、暖かいところでは生きる苦労が断然違うんですよね。コロラドの山奥では、暖房手段を得なければ凍死するし、食料の確保だって大変。チェンマイは、1年中温暖で、外にでればフルーツや草や食べられるものがたくさんあって、生活する人たちの緊張感が全然違う。なのでココの人たちが雪国を体験しにいくのはいいけど、生活できる人は多くはないでしょうね。その逆はたくさんあるけど。


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